ちょうどいいところを目指してたどり着いた先。

Toshio Fukumoto
福元 敏雄 / 寿司職人

昭和34年生まれ。16歳で上京し、首都圏を中心とした寿司店で修行。その後、下北沢に移り、2005年に「鮨福元」を開店。鮨はネタが命とし、素材本来の味わいにこだわった極上の鮨を提供している。ミシュランでは13年連続一つ星を獲得。プライベートでは包丁を一切握らず、愛猫とのゆったりとした生活を愉しんでいる。

思いがけずにはじまった、
鮨の道

思い立ってバイクを走らせ、姫路から東京に出てきたのが16歳の頃。上京の理由は、仕事ではなく、単に遊びたかったから(笑)。そうしたら、寿司屋の親爺につかまって、あれよあれよという間に寿司の修行道を歩いていたんです。経験を積んで、下北沢の店に落ち着いたのが28歳。毎日握っている「鮨」は、本来どうあるべきか考え始めたのもこの頃だった気がします。

やるからには、他の店で食べられるようなものは出したくない。自分が納得したものだけを、お客に出したい。そんな想いを抱えながら握り続けて、ある時、鮨は、どこまでもネタがすべてだと考えるに至りました。もちろんシャリも大事ですが、どんなにシャリにこだわっても、ネタが死んでいたら意味がない。鮮度や旬、味わいに至るまで、ネタの質がどれも最上であるべきだと思うんです。

仕入れは勝負。
プロの目を信頼する

うちのネタは、冷凍を一切使わず、質の良い旬のものと決めています。だから、仕入れは勝負。慣れてくると、魚の見た目からその良し悪しはわかるようになるけれど、河岸(かし)※1の人には敵いません。彼らは毎日相当数の魚をさばくから、やはり皆、目利きなんです。だから、話はよく聞くようにしていますね。

たとえば、マグロ。今日のは水っぽいから量は少なめにとか、これは色変わりが早いとか、正直に教えてくれます。信頼関係があるほど、向こうもこちらがどこで、どのような商いをしているかわかっているので、良いものを文句なしの価格でゆずってくれます。

同時に、子どもの頃に親から教えられたことも、よく憶えていますね。生家は果物屋で、当時は母ちゃんとやっちゃ場※2に行くことが多かったんです。そこには、さまざまな値段の果物がありましたが、幼かった自分には、質の違いがわからず。ある時、どうして安い品を買わないのか聞いたら、それは、”安物買いの銭失い“だと。プロの人が一番高値をつけて売っているものは、その品は絶対大丈夫だということだと。安いものを買ったら後で必ず後悔すると教えられましたね。
※1河岸…魚市場のこと
※2やっちゃ場…青物市場のこと

がんばりすぎず、
ちょうどいいところを目指す

そうやってネタにこだわるうちに、元来の鮨にあるようなシンプルなネタを、素材の味を生かして提供するという今の形に行き着きました。派手さはありませんが、本当に美味しいところをダイレクトに味わえるというのが、福元の鮨のあり方です。

シンプルであることの長所は、人生のいろいろにも共通するのでは?仕事はもちろん、日々の生活でも、がんばりすぎたが故にうまくいかないということは、案外あるものです。

身体も同じで、無理をしすぎたら、必然と壊れていくもの。ちょうど今年の頭に、不注意で腰を痛めてしまったんですが、それから特にこういったことを意識するようになりましたね。コルセット1つとっても、ものによっては身体の一箇所に負担がきて、重心が傾くものもある。弱いところをしっかりサポートをするというと、一見良いように聞こえますが、他にしわ寄せがあっては元も子もありません。“気張りすぎず、ほどほどに”という姿勢が大切だと思います。

立ち仕事のむくみは、
ベネクスで解消

普段は、朝の5時半から川岸(かし)で魚を見て、その後7時半に店にもどってきます。昼以降は、夕方からの営業に向けて、アジやマコガレイなど旬のネタを丁寧におろしていきます。営業がはじまれば立ちっぱなしなので、足はいつもパンパン…。

ベネクスでは、靴下とTシャツが気に入っています。あと、アームカバーもなかなか。むくみがとれるし、立ち仕事でも足が疲れにくくなりました。生地はやわらかくて、肌触りも良し。

鮨屋の仕事は、ルーティンな作業も多く、疲れが溜まっていても気付きにくいことも。でも、ベネクスに着替えると、余計な力が抜けていくんです。そこではじめて、疲れていたのだと気づきますね。そうそう、ベネクスを着ている時は、寝つきもよいね。

鮨も身体も。
良い記憶で締めくくる

人は、ネガティブな記憶こそ憶えているものです。かたや、楽しかったり、美味しかったりといった良い記憶は、あまり残りません。

自分の鮨は、お客にとって驚くほど美味くなくてもよいんです。個々人の味覚は千差万別だし。大切なのは、握りによって味の差がないようにすること。落第点の握りがあったら、お客の記憶には、その握りしか残りませんから。

結局、鮨も身体も一緒で、ちょうどいい塩梅は、やりすぎないというところなのかもしれません。たまにお客さんに聞かれるんですが、うちは、昆布締めですらやりませんから。昆布で締めると、ずっと香りが残ってしまう。他のネタの味わいまで邪魔してしまうんです。

身体も頑張りすぎない、そして守りすぎない、そんな視点が大切なんでしょう。鮨も美味いからといって、食べ過ぎないでください(笑)。きっと飽きがきてしまいますから。

OTHERS

ショッピングはこちら

ショッピングはこちら