長時間労働が社会問題となり、近年その話題の中心となっているのが「働き方」。政府が主導しさまざまな改革案の議論が進んでいますが、それに伴い、「休み方」にも注目が集まっています。「有休を消化しましょう」「仕事の合間には休憩を挟みましょう」「残業は控えましょう」、「6時間以上睡眠をとりましょう」......。休みの"量"については語られることが多くなりましたが、本当にそれだけで、働き方や生活は変わるのでしょうか? 今回は「休み」の本当の大切さを考えます。
健康維持するうえで大切な三大要素とは?
ヒトが健康を維持する上で、重要な要素と言えば「運動」「食事」「休養」です。「運動」を広く「動くこと」と捉えれば、この3つの繰り返すことこそが、生きることであると言っても過言ではないでしょう。どんなに効果的に運動を取り入れていても、ファストフードやお菓子ばかり、野菜ばかりといった偏った食事では強い体は作られません。逆もまたしかりで、毎日の食事には気遣っているのに、まったく運動せずにいては筋肉も骨も衰えてしまいます。
「運動」「食事」「休養」はそれぞれが連関し合っており、大切なのは3つの要素がバランスよく保たれている状態です。「運動」と「食事」は、メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病の啓蒙で、日本では10年程前から意識されるようになりましたが、「休養」はどうでしょう。過労などの問題を機に、徹夜や休日出勤が"働き者の証拠"のような時代がようやく終わり、ようやくここ数年で睡眠が見直されはじめたばかり。心身の機能を回復させる大切な行動であるにも関わらず、まだまだ意識も知識も低く、働く人も、専業主婦も、塾通いの子どもも、現代人は誰もが休み不足である可能性が高いのです。
まずは、自分ペースのペースマネジメント法からを見つけよう
あなたは、自分に与えられたタスクやシフトをうまくこなすために、どんな工夫をしていますか?自分なりに編み出した方法と、脳と体の仕組みとを照らし合わせてみると、あなたにぴったりのペースマネジメントが見つかるはずです。
起床を準備するコルチゾールの分泌時間を意識する
もしあなたが、夜勤入りの日はギリギリまで眠っているとします。「できるだけ睡眠時間を確保して体を休めないと」と努力している人もいるでしょう。夜勤入りの日は、ギリギリまで眠ることでうまく疲れがとれていますか?もしかしたら、途中で目覚めてはまた眠ることを繰り返し、頭が痛くなったり、体がだるくなっていませんか?
人間の睡眠は、起きる時間の3時間前から血圧や血糖値を高めて起床準備をするコルチゾールが分泌されます。このコルチゾールは、時間によってその分泌が決まるホルモンです。いつも日勤の日に6時に起きている人は、夜中の3時から分泌が始まり6時にピークになり、その後急激に低下するリズムがつくられています。
ところが夜勤入りの日に昼過ぎまで眠っていると、6時のピークは低くなり、その後も分泌が残っていて、最終的に起床した時間に急分泌されます。コルチゾールが急激に分泌されると、イライラしたり、やる気がなくなってしまいます。
平日・休日の起床時間差を3時間以内に
これは実験データではありませんが、シフトワークの現場で睡眠の記録を見ると、日勤と夜勤入りや休日の起床時間の差が、3時間以内の人はメンタルの不調はなく元気です。逆に、欠勤が多かったり疲れている人は、起床時間の差が3時間以上の傾向があります。
コルチゾールは、時間によって分泌が決まるので、いつも同じ時間に目覚めていれば、いつもその3時間前から規則的に分泌されます。シフトワーカーには難しいですが、脳や体へのダメージを少なくするためにも、起床時間の差を3時間以内にすることを目標にしてみましょう。例えば、日勤のときに6時起床の生活だったら、夜勤入りの日や休日は、9時までには一旦起きてみましょう。寝不足な感じがあったら、その後仮眠をしても大丈夫です。
「せっかく休みなのに起きて活用しなければいけないの?」と考える必要はありません。ただ機械的に起床時間の差を3時間以内にして、後はリカバリーウェアを着て、仮眠をしてもゴロゴロしていても自由です。実際、べネクスのお客様へのアンケート結果では、休日は一日中リカバリーウェアを着て過ごす方も2割以上いらっしゃる結果も出ています。起床時間の差が少なくなると、午前中のだるさが少なくなってきて自然に動きたくなってくるはずです。脳と体が自然に変わってくるのを楽しみに、淡々と起床時間の差を縮めるペースマネジメントを実行してみましょう。
執筆・監修:オフラボSTAFF