自ら光を放っているのではなく、太陽に照らされて光る月。見上げた空に月があるとホッとした気持ちになるのは、その光の優しさにあるかもしれません。今回は、そんな月と寄り添いながら心と体のリズムを整える提案を前後編にわたってお届けします。
新月から三日月を経て満月になり、そこから欠けていって元の新月に戻る月。かつて日本で使われていた暦は、この月の満ち欠けを基準にした旧暦(太陰太陽暦)でした。私たちは月のリズムで暮らすルーツをもっていたのです。
一方で、人間の体調は月の満ち欠けの影響を受けて変化するという説があります。ご存知のように、「水の惑星」といわれる地球の表面は3分の2が水で覆われていて、その多くが海水ですが、潮の満ち引きは月の引力の影響を受けていて、満月や新月のときに大潮となります。70%が水分である人間の体が月の引力の影響を受けたとしても不思議はありません。
そんな月の満ち欠けと女性の心と体のリズムの関係について学び、セルフケアに取り入れているのが、ヨガインストラクターの中畠綾香さん。月との関わりのきっかけと、月のリズムを身近に感じたエピソードを語ってもらいました。
きっかけは、新月の日に書き出す10の願いごと
声優の勉強をしていた19歳のとき、「新月になったら、自分の夢を書きましょう」とおっしゃった講師の先生が、新月の日に10の願いごとを書き出すことを提案されたのです。先生は続けて「新月にお願いごとをすると叶いやすくなるのよ」って。これをきっかけに、新月のタイミングに10の願いごとを書き出すことが習慣のようになりました。
願いごとは、ほんの些細なことから、将来の夢のような大きなことまで、なんでもあり。続けられたのは、紙に書き出すことで、今自分は何をしたいのか、やり残していることは何だろう、と頭の中を整理することができ、それが前に進むための大切なプロセスになると感じたからです。 何の疑問も感じずに始まった新月の願いごとだったのですが、9年が経ったころ、月の満ち欠けを意識するようになる出来事がありました。それは、ヨガのインストラクターとして新たなスタートを切ろうと心に決めていたタイミングでした。
食欲がどうにも止まらない!それは満月の日だった
ヨガのレッスン中に先生が、「満月から新月にかけてはデトックスのタイミングです」とおっしゃったのです。このとき初めて、月の満ち欠けが人間の体のリズムと関係していることに気づいたのです。それから本を読むなど、独学で勉強をスタートさせました。
ずっと願いごとをしていた「新月」は、体の浄化やデトックスに取り組むのに最適な日。新月から満月に向かう「上弦の月」の時期は、月が大きくなっていくにつれパワーが蓄積しやすくなる。「満月」はパワフルで自分の力が発揮されやすいけれど、それだけに要注意でもある日。満月から新月に向かう「下弦の月」の時期はデトックスがうまくいき、太りにくいとされる期間。
こんなふうに、学んだことがすんなりと頭の中に入ってきました。それは、自分の心と体の状態と月のリズムを照らし合わせると、重なることがたくさんあったから。中でも一番衝撃的だったのは、ジャンキーなものが食べたくてたまらなかったり、食欲が止まらない日が毎月のようにあったのですが、振り返ってみたら、それが「満月」の日。収穫や吸収の日と言われ、暴飲暴食に要注意の日だったのです......。パート2に続く。
はじめてみませんか?月を身近に感じる暮らしを。
月の満ち欠けと女性の体と心との関係については、まだまだ未知なことばかり。それでも中畠さんのように、月のリズムを意識しながら生活することで、体の調子を整えたり、心を癒したりしている女性が多くいます。そこでまず、月を身近に感じることから始めてみるのはいかがでしょう。新月や満月の日を知るには、「新月・満月」をキーワードに検索するのが便利。そして、市販されている月の満ち欠けカレンダーはデザインが素敵なものも多いため、インテリアとしてもおすすめです。