新潟アルビレックスBB 阿部 理一 ヘッドトレーナーに聞く【Vol.2】

スペシャル / スポーツ

新潟アルビレックスBB特集②
〜3年かけたリカバリー戦略で後半戦に強いチームの完成、そして地区優勝を成し遂げる〜

RLスタッフ:リカバリーウェアなどを活用して、コンディションを保つことで、シーズンを通して選手個人のパフォーマンスの向上や、選手生活を長く過ごせるなどはありますか。

阿部トレーナー:それで言うと、移籍してしまいましたが五十嵐圭選手が一番いい例だと思いますよ。契約したタイミングからリカバリーウェアをずっと来ていますし、去年(2020-21シーズン)は少し怪我で何試合か欠場しましたけど、それ以外はチーム所属の5年間は、ほとんど欠場していませんでした。特に、バス移動の車中では必ず来ていましたし、身体のケアを受ける時も必ず着ていましたし、食事している時も寝ている時も、ずっとべネクスさんのリカバリーウェアを来ていましたよ。

RLスタッフ:プロアスリートの方の休養(リカバリー)意識は普段から高いものなんですか。

阿部トレーナー:うーん、正直に言いますと、練習を休みたい、オフが欲しいという気持ちは普通にあると思いますが、どのようにして休養するかが付いてきていないのが現状かなと思います。なので、何をして休養するべきかということを、べネクスのリカバリーウェアを着て寝るとかがあると、休養に対する意識や思いが共有できたのが良かったと思います。
私もべネクスさんに出会うまでは、リカバリーウェアっていうものの概念を知らなかったですし、ノンレム・レム睡眠の考え方や交替浴すると良いなどの、良い睡眠の基礎知識はありましたが、それ以外にはあまり注目はしていませんでした。なので、ウェアを着て休むという考えがなかったので、お会いして、話を聞いて新しい発見だったと思いましたね。

RLスタッフ:阿部トレーナーとして、選手のコンディションを維持する上で、睡眠や休養の時間を計画的に使ったということはありましたが、それ以外に注力したことはありますか。

阿部トレーナー:先ほども言いましたが、ケアをきちんとする、睡眠をする、マッサージを受ける、それ以外の部分もしっかりアイシングしましょう、などの徹底は重要ですが、それ以外の対策としては、ウォームアップを少し変えましたね。アップ後の練習に入っても、すでに体は起きているというか、準備が出来ているという状態にするやり方に変えました。頭の体操も含めて取り入れていましたので、指示通りに身体が動くのかなどで選手の状態も観察していました。

RLスタッフ:実は今回は、もう2つのデータを用意しています。データの基になっているのは実際の試合結果とスタッツの一部で、1Q〜4Qの得失点差を2016-17シーズンと2018-19シーズンを比較したものです。

図表 ①:1〜4Q別得失点差(2016-17・2018-19シーズン比較) 単位:点

図表②:経過試合別得失点差(10試合別、2016-17・2018-19シーズン比較) 単位:点

上の表が、年間の総計を表しています。それで見ると2Qと3Qの得失点差が大きく改善しているのが分かります。
また下の表は、年間の試合数が60試合ありますので、それを10試合刻みで得失点差をみています。それで特に31試合目以降の後半戦に大きく数値が改善されていて、シーズンの後半に非常に強いチームになっているのが分かります。

阿部トレーナー:非常に興味深いデータですね、チームでもこのような分析はしたことありませんでした。確かに試合の中盤から後半にかけての数値が良いですし、シーズンの後半戦に結果が出ていますね。そういえば思い当たる節がありまして、シーズン5年目に入った時に、ある人から新潟アルビレックスBBって試合の締め、いわゆる試合のクロージングが強いよねといわれていましたのを思い出しました。その時はそうかもなぁと感覚で捉えていましたが、このデータを見ると納得しますね。

RLスタッフ:後半戦にもエネルギーが残っている、つまりリカバリー戦略がはまったということですね。

阿部トレーナー:確かに、強かったころは、4Qは強かったですね。優勝したシーズンは4Qに入って多少負けていても、逆転できるんじゃないかと、選手もスタッフもみんな思っていました。実際にそういう試合が多かった印象ですし、10点差つけて4Qに入ればこのまま勝つなって感覚はありましたね。でも、データでみるとより強調されるなと思いましたね、バスケットボールは走るスポーツなので、選手としても最後まで走り切る体力があるのは自信になりますね。

RLスタッフ:それが、3年目の地区優勝の一つの要因なのかもしれませんね。

阿部トレーナー:後半に強かったイメージがあるんですが、初年度のシーズンも前半の勝率は5割以上で折り返したはずなのですが、後半戦で選手の怪我が増えて、ズルズルと成績が落ちてしまいました。そして、2年目はチーム力として貯金が出来て終わり、そのままの選手で3年目に臨みました。優勝した年は、後半に連勝が多かったと思います。この年はスター選手が集まったわけではないですが、いつの間にか首位になって、すぐ落ちるかなと思っていたら勝ち試合が続いて、11月ぐらいから連勝が続いて、年末の連勝から、6連勝、9連勝などの繰り返しをシーズンが終わるまでずっと続いたんですよね。

RLスタッフ:やはり、怪我の離脱者なども影響していたのですか。

阿部トレーナー:2年目もそうでしたが、3年目も後半に連れてケガが少なかったので助かりましたね。通常は3・4月などシーズンの終盤は、どのチームも選手の身体は酷使しているので、怪我が増えてくるのが通例ですが、うちは怪我が少なかったですね。

RLスタッフ:秋から始まって春に終わるBリーグのシーズン形態で、コンディション維持や怪我予防が難しい時期はあるのですか。

阿部トレーナー:やはり、シーズンの入りと終わりですね。この2つの時期は、どうにもコントロールできないですよね。シーズンの入りの10月は、どうしても怪我が一番出てきてしまいますね。この時期は、いくらシーズン前に鍛えても突発的な怪我が出てきてしまう時期で、ここをいかに乗り切るかが重要ですね。まだ、試合勘が戻らない中で、キャンプ・合宿と本番のパフォーマンス強度が違う為、コンディション不足というよりも、競り合いの中で倒れてしまって怪我をしてしまいます。新潟アルビレックスBBは、後半につれてコンディションを整えるのが、得意なチームなので、シーズンの入りの怪我が課題ですね。

 

阿部 理一(あべ よしかず) アスレチックトレーナー プロフィール

現職:新潟アルビレックスBB 強化部部長、アスレティックトレーナー

経歴:新津高校→東海大学→新潟医療福祉大学院→新潟アルビレックスBB→東京サンレーヴス→リンク栃木ブレックス→新潟アルビレックスBB

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