【専門家インタビュー】WINフロンティア株式会社 駒澤氏 Vol.3「トータルパワーを上げる、10秒呼吸法」

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アスリートのパフォーマンスの発揮には、自律神経の働きが深く関係していると言われています。

今回は、ウェアラブルセンサーを用いた自律神経等の効果測定及び生体ビッグデータ解析事業を行うWINフロンティア株式会社の駒澤真人さんより、アスリートと自律神経の関係についてお聞きしました。

前回までの記事はこちら→【専門家インタビュー】WINフロンティア株式会社 駒澤氏 Vol.2「プロの人の技術の差って、ほとんど紙一重。一流に学ぶ自律神経のコントロール術」 | 休養・リカバリーウェアのVENEX(ベネクス) (venex-j.co.jp)

RLスタッフ:
トータルパワーが下がった方は、逆に上げるやり方はあるのでしょうか?

駒澤氏:
先ほども少し述べましたが、重要なのは呼吸です。呼吸法をおこなうことで、トータルパワーを上げることができます。特に様々な研究で言われている、101サイクルでの呼吸法がおすすめです。

RLスタッフ:
呼吸のリズムが重要なのですか?

駒澤氏:
はい。これは、心拍変動バイオフィードバック呼吸法と呼ばれ、この呼吸法によってトータルパワーが高くなると言われております。

このとき、「10秒に1回のリズム」で呼吸をおこなうのが重要です。特に、吐く息を長くすることがポイントです。例えば7秒吐いて3秒吸うとか、苦しければ6秒吐いて4秒吸うぐらいのリズムでも構いません。なるべく吐く息を長く、トータル10秒のサイクルで呼吸をおこないます。血圧の変動も10秒サイクルで変化していると言われ、簡単に言うと血圧のサイクルと呼吸のサイクルが共鳴し、心拍の揺らぎが大きくなることで、トータルパワーが高まるという原理です。

RLスタッフ:
その観点から、呼吸と自律神経との関係とは?

駒澤氏:
吐く息は副交感神経が働き、吸う息は交感神経が働きます。ですから、なるべく吐く息を長くすることで副交感神経優位に誘導できるのです。101サイクルのリズムと合わせてやると、より効果があるということですね。

RLスタッフ:
アスリートはどのように活用をしているのでしょうか?

駒澤氏:
例えば、試合で緊張状態の特には、合間に呼吸法をやって自律神経を整えて、落ち着いて次のプレーに臨むことが出来ます。呼吸法は特に機材など必要なく、いつでも、どこでも、簡便に副交感神経を上げる事ができる方法ですので、実践している方は多いと思います。

RLスタッフ:
最近、スポーツの番組で肺活というような話を聞いたのですが、あれもそういったものですか?

駒澤氏:
はい、肺活は、肺のまわりの呼吸筋群を鍛え、深い呼吸をできるようにするためのエクササイズですので、同様な考え方です。現代のストレス社会で、毎日慌ただしくバタバタしていると、自然と呼吸が浅くなってしまいます。すると、交感神経が優位な方向にいってしまいますので、日々の生活の中で、なるべく意識的に吐く息を長くする呼吸を取り入れることが大事です。

RLスタッフ:
現在RLスタッフがヨガイベントを定期的に開催しているのですが、ヨガは自律神経に有効なのでしょうか?

駒澤氏:
はい。ヨガもゆっくりとした動きで深い呼吸を誘う効果がありますからね。最終的には、呼吸が落ち着き、自律神経のバランスが良くなる効果があります。

RLスタッフ:
呼吸法だけをするのと、ヨガとして呼吸をするのと、そこに違いはあるのでしょうか?

駒澤氏:
基本的には呼吸を整えるという観点では同じであると言えます。なかなか、毎日、呼吸法だけをやるのは飽きてしまったりなど、結構しんどいと思います。その為、ヨガなど、自分に合った様々なリラックス行動を普段から取り入れて、自律神経のバランスを整える生活習慣を送るのが重要であると思います。

Profile

【駒澤 真人 プロフィール】  

WINフロンティア株式会社 取締役
順天堂大学 大学院医学研究科 客員准教授
芝浦工業大学 大学院理工学研究科 客員准教授
東京理科大学理工学部卒、東京工業大学大学院総合理工学研究科卒、神戸大学大学院システム情報学研究科博士課程修了(博士(工学))

IT企業にて、企業、官公庁向けシステムの開発事業に携わった後、WINフロンティア株式会社に創業時から参画。ウェアラブル技術を活用し人間情報をセンシング、評価分析、システム化して実応用まで繋げる研究で工学博士号を取得。160万以上ダウンロードされているストレスチェックアプリ「COCOLOLO」などを世に送り出した。企業、大学、自治体、医療機関などと連携し、商品・サービスの快適性を評価する感性工学プロジェクトや、人間の健康やクリエイティビティをサポートするプロジェクトに百件以上携わる。医工連携のプロジェクトにも数多く携わり、工学技術を医療現場へ応用することに注力している。

[主な著書]

『ストレス・疲労のセンシングとその評価技術』(第7  指先の指尖脈波を用いたココロのバランスをチェックするシステムの開発、技術情報協会、2019年)

『人間情報学 快適を科学する』(第6章 ウェアラブル技術を活用した心拍変動による感情解析と実用化、近代科学社、2022年)

WINフロンティア株式会社のご紹介】

https://www.winfrontier.com/

自律神経を中心とした人間情報センシング技術により、商品・サービスなどの効果検証やヘルスケアアプリの開発、生体情報を活用した新規事業のコンサルティングまで幅広くサポート。また、AI時代の到来で人間が人間らしくあるために、クリエイティビティに関する研究などもおこなっており、人間情報センシングの技術と認知科学・生理心理学の知見を活かして、クリエイティビティとウェルビーイングの向上に貢献する会社。

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