【専門家インタビュー】日本ラグビーフットボール協会co-CEO 池口氏Vol.1「長期ビジョンJAPAN RUGBY 2050実現のため、待望の施設JAPAN BASEの役割とは」

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ベネクスは20238月より、日本ラグビーフットボール協会運営の JAPAN BASE福岡のオフィシャルパートナー契約締結し、リカバリーウェア・サービスの提供で選手のコンディショニングサポートをしております。今回は、日本ラグビーフットボール協会 co-CEO 共同最高事業統括責任者の池口徳也様に、長期ビジョン「JAPAN RUGBY 2050」について、そしてビジョンの中での「JAPAN BASE」の役割をお伺いしました。

ベネクス星:このたび、日本ラグビーフットボール協会様とのご縁を頂きましてJAPAN BASE福岡にて「休養」面でのサポートをさせていただいております。まず、長期ビジョン「JAPAN RUGBY 2050」のお話からお聞かせください。

池口氏:日本ラグビーフットボール協会では、JAPAN RUGBY 2050という、長期的なビジョンを立てています。これは2019年のラグビーワールドカップ日本大会を通じて、スポーツと社会との関係において、非常に良い成功のモデルとなっていることから発足しています。ワールドカップをもう一度日本に招致して、そのときに世界一になる、というビジョンです。

ベネクス星:非常にワクワクするテーマですね。具体的にはどのようなことを進めているのでしょうか。

池口氏:日本代表がワールドカップで優勝するという究極の目標を上げて進めていく、そのためには、日本代表をいかに強化して、世界一のパフォーマンスが発揮できるような環境を整えるか、ということが必要になってきます。競技者だけではなくて、同時にそれを支える指導者、コーチあるいは健康面で支えるトレーナー、メディカルスタッフ、または審判のレベルなど、ラグビーに携わるあらゆる関係者で、世界一の運営が出来るように整えていくことを目指しています。

ベネクス星:スポーツは人を元気にしたり、勇気を与えたり、また何かチャレンジする力を与えたりするじゃないですか。そんな感動をもう1回観られたら、1ファンとしては嬉しいなと思います。

池口氏:震災や社会情勢の様々な不安がある中で、スポーツというものが提供出来ることは、競技自体の感動や、応援していただいている方々の感動の一体感で、更なる感動を生んでいけるとことだと思います。

ベネクス星:この間のフランス大会もテレビで見ていましたが、ラグビーというスポーツには、特別な力があるような気がしますね。

池口氏:本当にそうですね。2019年大会の時にワンチームというキーワードがあったかと思います。まさにワンチームとはラグビーの特徴の一つで、国籍主義ではないので、多様性が認められていて、世界各国から日本のラグビーへの貢献をされた方が、その代表資格を持ちチームとなっています。また、スタジアムにおいても、敵味方が入り混じって、みんなで応援していく、相手に対してもリスペクトし、お互いで盛り上がっていくスタイルがあると思います。

ベネクス星:協会の皆さんから色々とお話を聞いていて面白いなと思いましたし、ラグビーは何か独特な、素敵な文化があるなと感じていました。特に、人とのつながりを大事にする方が多いなぁと思っていました。

池口氏:競技中でも、あれだけの大きい選手達がぶつかり合う、もの凄くハードなスポーツです。その中で、自己犠牲のプレーをしていき、次のプレイヤーにボールを繋いでいく、それがOne for all, All for oneという言葉にも込められています。

ベネクス星:もっと多くの方に見てもらって、もっともっと盛り上がってくれると、嬉しいですよね。

池口氏:そもそもラグビーの試合は社交の場と言われていました。試合の前、それから試合終わった後にコミュニケーションを深める、要は飲み会が付いていた競技でした。最近ではコンディション管理で、そのような文化は薄れつつありますが。

ベネクス星:その日本ラグビーの発展として、JAPAN BASEが出来たのですよね。

池口氏:はい、JAPAN BASEを作った目的は大きく二つあります。冒頭にありました、我々の長期ビジョン「JAPAN RUGBY 2050」は、2050年にワールドカップをもう一度日本に招致し、そこで勝って世界一になりたいというものです。その為に、日本代表が世界一のトップアスリート集団になる為に、最高のコンディションと、最高の戦略と、トレーニング環境が必要です。そして、選手のプレーについてのあらゆるパフォーマンスを上げていくための、日本ラグビー界としては初めての自前の施設というのが、JAPAN BASEになります。

ベネクス星:実際に何度か現地に伺いましたが、ここが日本ラグビー発展の拠点と思うと、私たちも関わることが出来て非常に嬉しく思います。強化以外の目的もあるのですか。

池口氏:もう一つが、地域と連携したラグビーコミュニティの形成です。地域でスポーツを普及していく、そしてラグビーの色々な楽しみ方や、価値観・文化をJAPAN BASEから発信して行こうと思っています。今回JAPAN BASEは福岡県に開設をいたしましたが、九州全域において地域と密着した形で、ラグビーというものを広げて行こうと考えています。こういう大きく二つの目的でJAPAN BASEを開設したということです。

ベネクス星:福岡県に開設した理由はあるのでしょうか。

池口氏:福岡の理由のきっかけは、トップリーグのあるチームの企業研修施設兼トレーニングセンターをチームの活動中止事情から譲り受けたという経緯があるのですが、一つは、福岡県を中心とした九州地域はラグビーとは縁がありまして。日本の代表選手にも九州出身の方が沢山いらっしゃって、小学校、中学校、高校生などの様々なカテゴリーでも人材の宝庫として、ラグビーそのものを普及する環境が元々九州地域にはありました。

ベネクス星:なるほど、確かにそのようなイメージはありますね。

池口氏:もう一つは国際交流ですね。ラグビーをさらに発展していく為には、アジアがキーワードだと思っています。2019年のワールドカップで初めて、アジア開催として日本が選ばれました。そして今後のアジアへのラグビー普及の中心になっていくのが自分たちということで、アジア、オセアニア、南半球など様々な地域と連携するには、素晴らしいエリアだと思います。

ベネクス星:アジアでは、ラグビーは盛んなのでしょうか?

池口氏:アジアはまだ競技人口は少ないですが、これから発展していくと、世界中で期待されていく可能性はあります。ラグビーを通したスポーツの素晴らしさ、社会との新しい関係を築けるのではと思っています。

ベネクス星:ライバルとなる各国は、JAPAN BASEのようなトレーニング施設は持っているのですか?

池口氏:はい、持っています。各国の協会で、ハイパフォーマンスセンターを活用して、代表チームの強化をしています。フランスなどは、非常に大きなトレーニングセンターというものを協会が持っていまして、若い世代からシニアチームや代表までが、一貫した形で強化体制をとっています。日本でも強化センターを開設したいという思いはずっと持ち続けており、今回JAPAN BASEを立ち上げました。

ベネクス星:2050年の目標からすると、必須の施設ですね。

池口氏:極端に言えばラグビーっていうのは基本的にはグランドとボールあれば、プレーはできるんですけど、競技力を本当の意味で上げていくには、様々な要素をしっかりと調べて強化をしていく必要があります。特にハイパフォーマンスへのアプローチは3つの要素があります。

ベネクス星:そのあたり是非伺いたいです。

池口氏:一つは当然ながらストレートに、一人一人のストレングスを上げていくトレーニング。次に、栄養です。トップアスリートの最高のパフォーマンスには、最高の栄養の知見を入れる必要があります。そして最後は休養です。睡眠、それから睡眠だけに限らず様々な形で非常に厳しいトレーニングをした後に、どのようにリカバリーをしていくのか、この三つの要素が、パフォーマンスを引き出すには必要です。トレーニングのところばかりに、目が行きがちですが、その3つの要素がバランスよく取り入れられる環境作りが必要です。

ベネクス星:おっしゃる通りですね。国を挙げて運動・栄養・休養のバランスとると健康になると啓発をしていますが、でも現実には、休養をなかなか実践できないのが現在だと思っていまして、だったら我々の事業の役割ってここだよねという発想で、ソリューションになるリカバリーウェアを開発したり、休養のところに学問を入れようと「休養学」の教科書を作ったりもしています。

池口氏:素晴らしいですね。3本の柱がバランス良くなる為にも、我々も勉強していかないといけませんね。特にラグビーというスポーツは、激しいコンタクトがありますので、怪我の管理が重要になります。

Profile

池口 徳也

公益財団法⼈日本ラグビーフットボール協会
理事 共同最高事業統括責任者(co-CEO

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