【Think Athleteインタビュー】プロビーチバレーボール 古田史郎選手Vol.1 「"DOTs"結成はビーチバレーを通じて社会貢献するために誕生した形」

Think Athlete / 休息タイプ-休養学 / 運動タイプ-休養学

目標に向かい進み続けるために、コンディショニング作り、そしてアスリート人生を設計できる方を、Think Athleteと定義。ベネクスとしては、リカバリー環境のサポートにより、悔いのないアスリート生活、人生のサポートをすることを目指しています。

今回はThink Athleteの第13弾として、プロビーチバレーボールチームDOTsの古田 史郎 選手に取材をさせていただきました。

プロのバレーボールチームで経験を重ねた中で、地元北海道に戻り、プロビーチバレーボールチームDOTsを結成。競技と会社経営を両立しつつ、世界に向けての挑戦を続けています。

RLスタッフ:古田選手は長くバレーボールを経験され、2021年にプロビーチバレーボールチームを設立されていますが、それまでのご経緯を教えてください。

古田選手:バレーボールは9歳からはじめました。高校までは地元の北海道函館市にいて、大学で東京に出て、最初は東レアローズに所属していました。その後、ジェイテクトSTINGSを経て、ヴォレアス北海道が結成されるタイミングで地元に戻ってきました。

RLスタッフ:20数年バレーボール一筋で過ごされてきたんですね。ビーチバレーに転向されてどれくらいになりますか?

古田選手:2シーズンを終え、約3年になりますね。

RLスタッフ:なぜ転向されたのですか?

古田選手:ジェイテクトに所属していた頃に、トップリーグのV1チームが集まって、ビーチバレーのエキシビジョンマッチが行われたことがありました。そこでビーチバレーを経験した時にすごく楽しかったんです。

RLスタッフ:運命の出会いがあったのですね。

古田選手:体育館で行っているバレーボールのための技術練習の一環という位置づけだったのですが「もし本格的にビーチバレーをやったらどうなるんだろう」というワクワク感がありました。それと、地元の北海道にバレーボールチームを作りたいという夢がありまして。

RLスタッフ:ご自身で作りたいということですか?

古田選手:はい、いつかは育ててもらった北海道にチームを作りたいと思っていました。ヴォレアス北海道の代表が僕のひとつ上の先輩で、地元にチームを作る基盤を作ってくれたこともあり、ヴォレアスができるタイミングで北海道に戻りました。そこでまずは、選手としてパフォーマンスや結果を残すと同時に、それ以上に僕自身が北海道でインドアのバレーボールで成長し、挑戦し続ける姿勢をお見せして、最後までやり切ってからビーチバレーに転向しよう、と。そのタイミングが、ちょうど3年前だったのかなと思っています。

RLスタッフ:20代半ばでビーチバレーに出会い、タイミングもめぐるなかでDOTsというチーム結成があったんですね。

古田選手:国内のビーチバレーの選手は、それぞれ企業に所属して社員として活動している方が大多数です。ペアが変わってしまうこともよくあります。そういう現状のなかで、ビーチバレーを通して、社会に貢献できるようなことに挑戦したいと思った時に、辰巳と白石と自分たちで会社を興してしまったほうがいいんじゃないかと思いました。

RLスタッフ:バレーボールという道筋はありますが、ビーチバレーという新しい競技に転向し、同時に会社も作るパワーがすごいです。会社化して競技も続けていくことにある程度のイメージは持っていたのでしょうか。

古田選手:他のスポーツを見ても、自分たちで会社化するということは類のないケースで、参考になるケースは全くなかったです。ただ、ビーチバレーという競技については、こういう練習をしていけばこうなるな、というイメージはなんとなく持てていたのでそこまで心配はありませんでした。ただ、ビーチバレーの業界の理解もないなかで、競技をしながら会社のこともやっていくという面では、どういう配分で行うべきかなどは探り探りという感じです。

RLスタッフ:ビーチバレーとバレーボールの業界の仕組みは全く違うのでしょうか。

古田選手:ビーチバレーは、海外の試合に出られることがわかるのが、試合の一週間前だったりします。じゃあ明日この国に行こう、ということも平気で起こります。また、自分たちは競技転向して間もないのでポイントが低いこともあり、最初の頃はほぼ試合に出られなかったのですが、他のチームが急遽キャンセルして空きが出ることもあります。そういう時は自分たちがその場にいれば出場できるというような世界。だから今のところは、行けば出られないことがないので、未確定でも現地に行ってみて出場のチャンスをつかむということがほとんどです。

RLスタッフ:試合も当日までわからないとなると、コンディションを整えるのも難しそうですね。

古田選手:この夏に世界的国際大会が迫っているなか、今回は行き当たりばったりになってしまいましたが、次に向けてという部分では余裕を持ってコンディションを整えながら、ポイントもしっかり獲得していくことを視野に入れて進めていきたいと思っています。

RLスタッフ:このタイミングで、古田選手と辰巳選手がペアとして活動を始動されましたね。

古田選手:はい。これまで自分たちは試合に出場するためのポイントがない状況だったので、それぞれ別で活動していたんです。ビーチバレーでは、自分がポイントを持っていなくても組む相手の方のポイント数で試合に出ることができます。トップクラスの方とペアを組ませていただく機会もあって勉強にもなるし、そこで得たポイントは僕自身が保有できる仕組みになっているんです。

RLスタッフ:面白い仕組みですね。それを経て、今国際大会を目指す前に辰巳選手との結成が間に合ったんですね。ビーチバレーをまだあまりご存じない方のために、魅力やルールを教えていただけますか。

古田選手:大きく違うのは、チームの人数ですね。体育館で行うバレーボールは6人チームですが、ビーチバレーは2人でやるということです。役割や責任は3倍かかることになります。7点ごとにコートスイッチがあったり、風向きが都度違ったり、時間帯によっては気温変化もあります。監督やコーチがベンチにいるわけではないので、自分たちの課題や精神的な部分も含めて、すべて2人で作り上げるところが魅力ではないかなと思います。

RLスタッフ:ありがとうございます。ビーチバレーの裏側の仕組みなど、これから改善や発展がされていく途中経過のなかで、世界を目指すという大変さがあるかと思います。急な変更や状況にも動じない心も大事そうですね。

古田選手:そうですね。ベテラン選手でも、過去の傾向を基に、こうなりそうだなというところで動かれているケースが多いのではないかなと思います。僕らは僕らのスタンスでやっていく、保ち続けるということも結構大事だなと思います。

Profile

古田 史郎(ふるた しろう)選手

1988年129日生まれ、北海道函館市出身のプロビーチバレーボール選手。

函館大学付属有斗高校卒業後、法政大学在学中に全日本入りして2009年ワールドグランドチャンピオンズカップに出場し、リリーフサーバーとして登場し勝利に貢献、銅メダルを獲得した。

2021年にビーチバレー界に転向し、国内外の大会で注目を集めた。
ビーチバレーでは、パートナーとの息の合ったプレーと確かな技術で勝利を収め、その実力は世界的にも認められている。
また、そのプレーだけでなく、精神力やリーダーシップも兼ね備えており、彼の経験と洞察力は、若手選手にも多大な影響を与えている。

〈経歴〉

2010年 東レアローズ入団
2013年 ジェイテクトSTINGSに入団
2017年 ヴォレアス北海道に入団
2021年 ビーチバレー選手に転向、辰巳遼、白石啓丈とともにビーチバレーチームDOTsを立ち上げ、社長に就任

〈所属チーム歴〉

函館大学付属有斗高校 - 法政大学 - 東レアローズ - ジェイテクトSTINGS - ヴォレアス北海道 - 現在:DOTs(ビーチバレー)

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