目標に向かい進み続けるために、コンディショニング作り、そしてアスリート人生を設計できる方を、Think Athleteと定義。ベネクスとしては、リカバリー環境のサポートにより、悔いのないアスリート生活、人生のサポートをすることを目指しています。
今回はThink Athleteの第18弾として、欧州でのプレー、日本代表経験もあるプロサッカー選手の権田修一選手に取材をさせていただきました。
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【Think Athleteインタビュー】プロサッカー 権田修一選手Vol.1 「意識してつくるオフタイムが、質の高いオンタイムを生み出す」
RLスタッフ:権田選手はかなりしっかり睡眠を取られると伺いました。
権田選手:時間があればとにかく寝ることにしています。ある人が言っていたのですが、人の体はトレーニングでは強くならないらしいです。要は体を破壊しているので、トレーニングによって強くなるわけではなく、その後の食事と睡眠が本当に体を強くすることだと。そこの意識というのは選手によってまだ差があるなと思いますね。
RLスタッフ:以前アテネオリンピックに出場された方が、同じことをおっしゃっていました。トレーニングは地震で建物を壊すようなもので、食事は次の地震が来た時に耐えられる建造物にするための建築素材、そして休養は建築の時間。食事はいいものがたくさんあって高いものをみなさん取り入れますが、建築時間もつくらないといけないと。
RLスタッフ:多くのプロの選手からは、年齢を重ねての変化や怪我をキッカケに、トレーニング以外への意識が高まるとよくお聞きしますが、権田選手は意識のかけ方が高く研ぎ澄まされていて、生粋の睡眠のプロという感じがします。
権田選手:子どもの頃から早寝なんですよね(笑)小学生の頃には9時に寝る家で、中学・高校ではFC東京の下部組織に入って練習の時間が遅くなりましたが、それでも1日8時間は絶対に寝る時間を確保していました。あとは上手く昼寝をとることですね。練習の前、学校から帰ってきたら20分でも30分でも寝るということは、子どもの頃からやっていました。プロになってからは練習が午前中で午後は自分で調整ができるので、何時に寝るから昼ごはん、夜ご飯は何時に食べて、という生活をずっとしています。昔からの習慣にも支えられて、筋肉系の怪我はほとんどしていないですし、本当に食事と睡眠の部分は自分にとって影響が大きいと思っています。
RLスタッフ:子どもたちにも伝えたいですね。
権田選手:小学校に授業で行くと「どうしたらサッカーが上手くなりますか」といわれますが、「よく食べて、よく寝ることだよ」としか僕は基本的に言わないです(笑)
僕は21時には寝ているよというとみんな「え~!」といいます。何時に寝ているか聞くと11時や12時っていうのですが、子どもに罪はなくて、親御さんがそれをよしとしていることや、睡眠や食事のことの理解が不足している状況が根底にあるのではないかなと思っています。
RLスタッフ:今は子どもたちにも当たり前にスマートフォンがある生活の中で、寝られないということも言われているなかで、権田選手のようなトップアスリートに、何はともあれ「寝ることが一番」と言っていただくことは社会にとっても大きいですよね。
権田選手:子どもにとっては親の影響って大きいと思うんです。うちの子は強制的にテレビを消して寝かせるので、よく寝るのですが、僕が早く寝るから、寝ることが大事だと理解してくれていると思っています。妻がしっかり食事も作ってくれ、僕もしっかり食べるので息子は食事が大事なことも理解しています。親御さんが自分は携帯を見ていて、子どもにも自由にさせていたらそれでは子どもは寝ないじゃないですか。
サッカーが上手くなる方法を聞かれるように、子どもをアスリートにしたいと思っている方ってたくさんいると思います。子どもの未来を考えるなら、まずは自分の生活を見直して変わり始めることが一番だと思います。
RLスタッフ:私たちも「休養」に対する情報の少なさ、知識の少なさに対してアプローチすることで、社会にとってよい影響につなげられるのではないかと考えています。
権田選手:先ほどもお話ししましたが、サッカー選手とビジネスパーソンで生活スタイルの違いはあるにせよ、オフの作り方、オンの充実のさせ方というのはそれぞれ上手くできる方法があるのではないかと思います。
僕より若い選手があんまり寝られないと言うのですが、それは何か理由があるのであって、寝る前に携帯をいじっているとか、覚醒するようなことをしていたり、カフェインの摂りすぎだったりすると思います。よく年を取ると寝られないと言いますが、安心してください。僕は子どもの頃と変わらず寝られているので、大丈夫です(笑)
RLスタッフ:奥様の食事についてもお聞かせください。
権田選手:外食って自分でコントロールしようとしても難しい部分が当然あります。栄養のバランス、添加物、調味料なんかはいくら意識しても難しい。だから極力外食が続かないように意識しています。1日のトータルで、夜が外食の日は朝・昼は家で食べるとか、翌日で調整したり。また基本的に試合の2日前からは外食をしないで、妻の料理を食べることをスタンダードにしています。家での食事をベースにするようにしてからは、調子の良し悪しがなくなりました。ゴールキーパーは調子がいい時はいい、悪い時は悪いということがダメなポジションなので、基本的に高いところで一定をキープする必要があります。だから「今日ちょっと調子悪いな」というのがないのはすごく強いんです。昔は「今日は体が重いな」とか、「調子悪いな」というのがありましたが、一定の状態で試合に入れるというのは妻の食事のおかげで整っている感じがあります。とにかくいいもの食べて、いいものを着てしっかり寝るというのは自分ができる最高のリカバリー方法です。
RLスタッフ:睡眠の部分の後押しができて光栄です。
権田選手:ベネクスのリカバリーウェアは効果が落ちていかないというのもすごいですよね。知らないうちに効果が落ちているというのはリスクだし、自分では気付けない。ここ一番の大事なタイミングで実はちゃんとリカバリーできていなかった、となるとそれは辛いじゃないですか。永久的に効果が続いてくれているというのは、選手にとって波をなくすという意味ではすごく心強いです。睡眠は、落ち着いて安定してとれることが大事なので、今日はよく眠れた、今日は眠れなかったではなくて、毎日安定してよく寝られることはすごくありがたいです。ずーっと着ているので着ない場合の効果の違いはもはやわからないですけど(笑)
RLスタッフ:初めてお話をさせていただきましたが、権田選手の中にある理論はベネクスのものと全く一緒だなと感じました。
権田選手:わからないものは自分の体で、それこそデータを蓄積するように試して「こうするとこうなる」という結果こそが経験だと思うので、頭の中にデータとして残す作業をしています。誰かに「これやって」と言われても「はい」って素直に言わないタイプです(笑)「なんでなんだろう」って自分で一回考えたいんですよね。
RLスタッフ:考えて実際に使ってみないと納得しないタイプの権田選手に、ずっと使っていただけているのは本当にうれしいです。最後に権田選手が目指す今後の目標があればお聞かせください。
権田選手:傍から見たら35歳はベテランで、あと何年と見られていると思いますが、自分自身、今がベストでこれをキープしようって気は更々ないんです。今はここからもう一回世界のてっぺんを取るために何をすればいいかという途中段階だと思っています。体が元気なのもあるし、アグレッシブに行く意欲もある。だから今はとにかく上を目指せるチャンスがあるならチャレンジしたいし、挑戦する人生を送りたいと思っています。
RLスタッフ:これからもトップを走ってください。
権田選手:今日もリカバリーウェアの話を聞いて、新しい知識が得られたように、毎日練習をしている中でも気づきがあったりします。自分でこれ以上成長できないと思っていたら、そのアンテナってそもそも働かないと思うんです。何か成長できないか、もっとできるんじゃないかとアンテナを立てておくことで、些細なことでもできるようになったとか、これができるようになったらもっと良くなるんじゃないか、って。その発想は現役でサッカーをやっている間は続けたいです。もしサッカーを辞める時がきたとしても、人といても自分がアウトプットするだけの人生は送りたくないなと思っていて、常に新しいことを知りながら、成長しながら人に伝えていく感覚を持ち続けていきたいですね。
RLスタッフ:志が高い権田選手ですが、忙しい合間を縫って、ドナルドマクドナルドハウスのご活動もされていますね。
権田選手:1年半前くらいにチームメイトがその施設にお世話になった機会があり、見学に行く機会があって存在を知りました。どんな施設かご存じですか?
家から遠く離れた病院に入院・通院している子どもとそのご家族のための施設で、子どもの治療に付き添うご家族のために滞在できるようになっています。遠方から治療に来られている場合、その家族が数か月宿泊するとなったらとんでもない負担になります。サッカー選手も病院訪問など行っていますし、僕も小児病院などに訪問した経験はありましたが、そこは盲点だったなと思いました。自分自身も親になり、子どもが安心して過ごすためにも親の存在が絶対的に必要だと実感しました。
RLスタッフ:名前だけは聞いたことがありましたが、詳しくは知りませんでした。
権田選手:アメリカでは9割がハウスの存在を知っていますが、日本での認知度はわずか3割です。僕に何ができるか考えた時に、寄付することもできますが、一時的な関わりにするのではない形があるのではないかと思いました。認知が5割になり、その増えた2割の人が少しずつでも募金してくれたら僕一人よりもはるかに大きな額が継続して集まる可能性がある。サッカー界の力でなんとかできるんじゃないかなと思いました。代表戦には5万人が来るわけです。半分の方が知らないとして、その人も知ってもらえるようになったら強いなと。エスパルスのスタジアムでも募金ブースを作ってもらったり、アビスパ福岡や、大宮アルディージャの選手とコラボさせてもらったりしています。
RLスタッフ:アスリートの方々の力は大きいですよね。
権田選手:ありがたいことに「元気をもらいました」と言っていただけることがあります。子どもたちもですが、親御さんも医療従事者方々も疲弊されているなか、泣いて喜んでいただけることもあって。僕らがそういう存在になれるのであれば、喜んでいただけるのであれば、これこそ自分たちができることだと。サッカーの力って世界的にも強いので、活かしていけたらなと思います。
RLスタッフ:本日はありがとうございました。サッカーはもちろん、社会にも大きな志と、影響力のある権田選手の休養をこれからもサポートできればうれしいです。
■Profile
権田 修一(ごんだ しゅういち)
1989年3月3日生まれ、東京都世田谷区出身のプロサッカー選手。ポジションはゴールキーパー。元日本代表。
確実なセービングや、果敢な飛び出しが持ち味でJ1のFC東京でデビューしたあと、オーストリアやポルトガルといった海外のリーグでもプレー。2012年のロンドンオリンピックでは23歳以下の代表として出場し準々決勝までの4試合を完封するなど日本のベストフォー進出に貢献。年齢制限のない日本代表としてはこれまでに33試合に出場し、2014年のブラジル大会、2022年のカタール大会と2回のワールドカップに出場。カタールで開催されたワールドカップでは好セーブを連発し、日本代表のベスト16進出に大きく貢献し、MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に選出され、守護神としてチームを牽引した。
〈代表・選抜歴〉
U-15・16・17・18・19・20・22・23日本代表、日本代表
〈所属チーム歴〉
さぎぬまSC(世田谷区立弦巻小学校) - FC東京U-15深川(世田谷区立弦巻中学校) - FC東京U-18(国士館高校) - FC東京(2007) - SVホルン(2017/オーストリア※期限付き移籍) - サガン鳥栖(2017) - ポルティモネンセSC(2019/ポルトガル)-清水エスパルス(2021)